2021.02.08 コロナ禍の事業開発活動は・・・

令和3年の新年を迎え、既に立春も過ぎました。コロナウィルス蔓延による社会不安がなかなか収まりませんが、皆さん、前を向いて生きましょう。今年最初のブログでは弊社のモットー「笑門来福」の精神で、コロナ禍の期間どうやって前を向いて泣き笑いしているか、事業開発活動の一部をご紹介します。

バイオベンチャーの重要な事業の一つは事業開発活動です。これは大学や他社との共同研究開発、パイプライン製品や技術のライセンスなどの活動のことです。特に自らのパイプライン製品をライセンスアウトすることはバイオベンチャーの収益を支える活動として重要です。こういった活動はネットワークを利用して提携候補を探し、そのコンタクトポイントとなる人と話しをすることから始まります。

事業開発活動を開始するにあたり認知度が高い大会社・有名会社の場合は、相手方にとっても最初から安心感があり、一定レベルのコミニケーションを直ぐに始めることが可能です。一方、スコヒアのようなベンチャーの場合、相手方はその存在すら知らないことが珍しくありませんので、スコヒアに対する信頼感を持ってもらうことが大事になります。

そのために一番有効なのは対面で話しをする機会です。特に海外の会社との話を進める場合、こちらから出向く時も相手方を受け入れる時もいずれにしても遥々外国から旅をして初めて面談が成立しますので、古今東西を問わず相手に対する感謝というのは感じるものです。それと、こういった場合提携に関する仕事の話だけではなく、担当者同士は業務外の話、個人的な話などもブレイクの時間や会食時に行いますから、お互いの信頼感の醸成には対面の機会はとても強力なツールでした。

現在のコロナ禍では海外渡航自体が制限されており、なかなかお互いに訪問しあうことができません。私の場合も昨年2月に台湾を訪れたのが直近の海外仕事となってしまいましたが、事業開発活動はコロナ禍のような環境でもITを利用した電子メールやWeb会議で相手方とのやり取りはかなりカバーすることができています。対面のコミニケーションに比べて、会話力や工夫も必要ですが、特にWeb会議の利用によって、旅費や旅程に係る日数の節約、出張人数制限やスケジュール調整の負荷軽減など、海外出張にかかわる煩雑な要素もWeb会議で解決しています。他にも、会議参加者は職場や在宅を問わずフレキシブルに検討できますし、会議資料もWeb会議であれば誰もがベストポジションで見ることができます。相手方との関係性構築にWeb会議での顔出しもコロナ禍前とは異なり常識的になってきました。会議前のいわゆるice breakをweb会議で実施するケースも増えています。

また、候補会社の探索ツールであるBio International, Bio Europe, Bio Japanなどのパートナリングカンファレンスも世界中のコロナ禍の影響でWeb開催となっており、担当者たちは苦労しながら事業開発活動を続けています。スコヒアではそれ以外に外部エージェントにパートナリングのサポートを依頼しており、その場合エージェントの個人的なネットワークで繋がっている候補先とのコミニケーションはエージェントを介することにより、対面で話できないことを補い、信頼感醸成のプロセスをかなり省くことができます。新規の候補先といきなりWebでのコミニケーションから始めることは、通常時の事業開発活動と同様ハードルは高いものの、従前より蓄積してきたネットワーク、外部エージェントの協力と社員の努力によって、事業開発活動が滞ることはありません。

これ以上コロナによる社会不安が長引かないことを祈るばかりですが、皆様もご自愛ください。

皆様も我々とご一緒に笑顔で「福はウチ!」

奥村洋一

 

2020.09.15 情報発信・研究成果社外発表

 第二波もそろそろ落ち着き始め(?)、暑くてとても息苦しいマスクの着用を除くと新しい生活スタイルにも漸く慣れてきた今日此頃。一方、マスク着用の習慣のように数か月前には目新しいと思えていたことが、最近では『当然のこと、当たり前のこと』と思えるように生活スタイルも変わってきました。例えば、ステイホーム、在宅勤務、時差出勤、居酒屋の出入り自粛、ソーシャルディスタンス等、これほど急激な生活習慣の変化はこれまでに経験してこなかったかもしれません。それにもかかわらず、短期間できっちり対応出来ている人間の学習能力に改めて驚かされています。

 さて、最近スコヒアでは、設立以来継続して取り組んで来た『世界で勝負できる研究体制の構築』の成果が徐々に実を結びつつあり、積極的に社外発表(論文投稿、学会発表等)が出来る状況になってきました。これまでの研究成果を外部に発表出来ることを誇りに思うと同時に、毎日のタイトな研究生活の中、上手に時間を絞り出し社外発表のActivityに積極的に取り組んで下さっている研究本部のメンバーに心から感謝致します。(社外発表内容の詳細は、スコヒアHP内『ニュース』および『パイプライン』をご参照ください)。

 今年は先に述べたようなコロナウィルスの影響があり、オリンピック・パラリンピック東京大会、高校野球選手権大会など、身の回りの各種イベントも中止・延期になってしまいました。代わりにオンラインのイベントが増え、スコヒアでも毎日のようにweb会議を活用しています(子供やペットの声、電車や自動車の通過音、ごみ収集車の音楽などの飛び入りも楽しみの一つです)。
 同様に、当初予定されていた学術集会も中止・延期を余儀なくされています。しかし、その一部はVirtual scientific meetingとして開催されており、先日、スコヒアメンバーもSCO-267・Medicinal Chemistryにおいて初めてVirtual presentationを経験しました。カメラの向こう側にいる『世界中から集まった(であろう)多くの研究者』を相手に流行のvideo conferenceならではの装い(上半身のみスーツ姿(ネクタイ付き))で時差と格闘しながら非常に楽しい45分間のScientific discussionを大いに堪能しました。相手が良く見えないところはオンライン会議のデメリットではありますが、確実にたくさんの方にスコヒアの研究成果を直接伝えることができるとても良い機会でした。余談ですが、今回は時差の関係で真夜中の発表となり、ちょっとした合宿のような雰囲気も新鮮でした。今後も、このような発表を継続的に行っていけるよう、確かな専門知識と研究データを基に、魅力的な研究成果の創出を目指しています。

 次々と社外発表を行えることはとても喜ばしいことではありますが、それ自体が我々のゴールではありません。ゴールはあくまで患者さんに必要な新薬を届けることであり、スコヒアの薬が患者さんの助けとなることです。これらの発表が少しずつでもゴールに近付いている証であることを信じ、患者さんに新薬を届けるその日のために努力を継続します。

研究本部・前川

2020.08.11 人生100年時代の創薬

 はじめまして、2020年4月にスコヒアファーマに入社しました、臨床開発部長の荒木です。
 同じタイミングで新型コロナウイルス感染症の拡大により、リモートワーク中心になりましたが、“笑門来福”のカルチャーで、スコヒアの皆さんが暖かく受け入れていただいたおかげで、早いもので4か月が過ぎ、やりがいをもって仕事をさせていただいています。残念ながら、自粛等の影響で湘南散策はまだそれほどできていませんが。。。

 この度、GLP-1/GIP受容体デュアルアゴニストでありますSCO-094がイギリスでの糖尿病患者さんを対象とした第一相試験でFSIを達成することができ、大変うれしく思います。よりよい新薬をできる限り早く患者さんに届けられるよう、関連するパートナーとともに、臨床開発を継続していきます。

 さて、めまぐるしく進歩する医療のおかげで平均寿命が延び、人生100年時代といわれる一方で、平均寿命と健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)との間には日本の統計で10年前後の差があるようです。現在、問題となっている年金、介護の問題を鑑みても、リタイア後、長く生きること自体に不安を覚える人が多いのも事実だと思います(長生きすること自体がリスクになるって、どこか変ですよね)。

 この高齢化社会における諸問題への一つの解決策として、健康寿命を延ばすことによって平均寿命と健康寿命の差を少しでも小さくしていくこと、人々ができる限り長く、健康な状態を保てる社会を築くことが重要であることは明らかだと思います。

 我々スコヒアファーマは糖尿病、肥満、腎障害、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)等を主な疾患ターゲットとして、新薬の創薬、開発をすすめています。その究極目標はまさに、健康寿命をのばすことにあるのだと考えます。皆さんがより長く健康で、仕事、生活ができるお手伝いをすること、それを可能にする新薬をできる限り早く創薬、開発すること、がスコヒアファーマのミッションです。

 コロナ禍に代表されるように、未知のことが次々起こり、先行きに不安を抱かざるをえない今の時代において、自分たちのカルチャーとミッションを常に意識しつつ前進を続け、すべてのステークホルダーと共同することにより、明るい未来の実現にお役にたてればと思います。

2020.07.15 働き方の多様化についての取り組み

 コロナ禍における「Withコロナ」、「Postコロナ」と銘打ったセミナーが連日のように開かれています。そこで聴講していると、「あなたは、今後、同様な不測の事態が起こっても事業の継続性が担保されるような経営環境を如何に作ることができますか?」という命題をいつもマネジメントへ問いかけられているように感じていました。

 そんなコロナ禍の中、ある人材紹介会社のご担当のA氏とWebミーティングを行う機会がありました。その際のエピソードを切っ掛けに、当社の事業環境、研究開発活動の継続性に関するリスクマネジメントの取り組みを一部ご紹介できればと思います。

 人材紹介会社A氏より、「今後の採用計画についての見通し」などの質疑を経た後に、A氏「御社ではコロナ感染症拡大による影響は何かありますか?どのような働き方をされていますか?」と質問されましたので、

―当社では緊急事態宣言前より在宅勤務推奨を行い、ウエットの研究従事者をのぞき、現在では従業員の約半数が継続して在宅勤務を中心とした勤務を行っている状況です。当初は業務遂行に関していくつかの懸念もあったのですが、ふたを開けてみると内部統制上の問題もなく業務遂行ができています。研究者の住まいが、都心部ではなく湘南地区に多いのもそのひとつです。と回答したところ、

A氏「数十社のベンチャーをクライアントに抱えていますが、一斉に在宅勤務へシフトできた会社は知っている限りありません。なぜ業務遂行に支障なく在宅勤務体制へ移行できたのでしょうか?」

―もちろん在宅勤務に合わせて会社規則や労働契約書を一部手直しはしましたが、最も貢献した点は、創業期からITシステム化にコツコツと取り組んで来たことだと思います。とお答えしました。

 そうなんです。コロナ感染症の拡大による社会的な要請によって在宅勤務へと流されることになったのではなく、従業員の約半数が在宅勤務体制になっても、事業継続のための十分条件がある程度整っていることに、その問いによってあらためて気付かされた切っ掛けとなりました。

※当社のITシステム化の取り組み(デジタルトランスフォーメーションの現状)
「勤怠管理」、「在庫管理」、「試薬購入・購買管理」、「稟議決裁承認」、「経費精算」、「財務会計」、「電子契約・押印」、「クラウドデータ保管」、「電子実験ノート」、「協業のためのクラウド情報共有ポータルサイト」、「情報検索」、「労務管理/給与明細管理」、「人事評価」、「安否確認」、「ITデバイスのリモートメンテナンス」、「情報セキュリティ」、「Web会議」等のITシステム・体制を完備。その他、全従業員の通信環境整備としてiPhoneや在宅勤務時のIT関連ツールを支給・配備。入居している湘南iParkサポートステーションシステム等の環境下で各種法令や社内規則の整備を行いながら稼働出来ている状況です。

 

 一方で、継続して取り組まなければならないマネジメント課題も認識しています。ステークホルダー(株主、従業員、支援者など)とのコミュニケーションです。「マネジメントと従業員の対話」、「部門を越えた従業員間の情報共有」、「情報格差を最小限にする」などの課題に日々取り組みながら、組織カルチャーを構築していきたいと考えています。

 創薬企業として、臨床開発品を創出しイノベーションを起こし続けるため、アイデア創出の「場」作り、「研究開発投資」、そして闊達な議論が起こるための「研究開発環境整備」に継続して取り組んでいきたいと思います。

<スコヒアの行動指針>
・創薬にこだわり、創薬を愉しむ!
・プロ意識を持つ!
・スピーディーに行動する!
・仲間を信じる!
・コンプライアンス遵守!

 

経営管理本部 清田 圭一

2020.06.29 コロナ禍でも頑張る!

 皆さま、新型コロナウィルスの問題で不自由を強いられていませんか?1ヶ月延長された緊急事態宣言も解除されましたが、まだまだ社会的な制約が残っており、ご苦労は続きますね。
 コロナ問題は全国民、そして世界中の人々に関わる問題であり、人々が安心できるようにならないと人間としての生活ができないように思います。どうしたら良いのかを皆で叡智を絞る時なのだと認識せざるを得ません。築地市場の豊洲移転問題の際、「安全であっても安心ではない」というニュースを耳にして、「よく理解できへんなぁ」と感じたことを思い出します。政治家やメディアには真剣に対処していただくことを強く期待しております。

 さて、弊社スコヒアでは一部の海外臨床試験の計画変更を余儀なくされましたが、それ以外は自社の研究開発活動自体は止めることもなく一定レベル事業推進することができています。リスクマネジメントの下、防疫意識を持って仕事を進めている社員の努力の賜物です。それにしても昨今のIT技術がこんなにもありがたいツールであると感じたことはありませんでした。計画的にITシステム化を進めていた当社では、WEB会議システムを利用すれば何処にいてもいつでも、しかも資料を見ながら議論ができます。思いの外、通常の会議より発言者の声がよく聞こえるし資料も画面に映りますので、近眼・老眼・乱視の私にはWEB会議の方が便利な面があることに気がつきました。もちろん対面した会議の方が人の肌感覚が分かりますが、両者長短があることを理解しつつも今後の仕事のやり方改革にリモートツールはうまく利用することができそうな気がしております。

 因みに、少し宣伝させていただきますと、海外で実施しているSCO-792の臨床試験(糖尿・肥満)はコロナ禍の影響を受けましたが、計画を若干修正することで患者の組み入れは終了しております。また、同製品の糖尿病性腎臓病の臨床試験でも最初の患者の組み入れが完了し、試験が順調に開始されました。プロジェクト担当者たちは現地CROとかなり密なる交信を行い、ここまで漕ぎ着けてくれました。「コミュニケーションの密」は社内外共に今後も継続していきたいと思います。

 それとおまけですが、弊社のロケーション、藤沢市の湘南アイパーク内はとても都合が良かったと実感しております。通勤するにしても都内まで行く必要がないので、公共交通機関を利用しても、いわゆる「三密」になる可能性は低く、海沿いの湘南の空気も綺麗です。ラボの移転を考えておられるベンチャーの方にはお勧めです。

 「コロナ禍でも頑張る!」気持ちで乗り切りましょう。

奥村洋一@湘南アイパーク