IP6Kは高エネルギー分子であるイノシトールピロリン酸であるInsP7をその前駆体であるInsP6から生成することで多様な細胞内シグナル伝達経路に関与していると考えられています。一方、IP6Kが生体内で果たす生理的な役割は十分に解明されていませんでした。

当社はIP6Kが生体内の血中リン濃度の調節に決定的な役割を果たしていることを明らかにし、この発見を新しい治療薬に応用しようとしています。

当社の研究の結果、IP6Kは細胞からのリン排出を促進的に制御していることが分かりました。IP6Kが阻害されると細胞内のInsP7レベルが低下することで細胞からのリン排出が大きく抑制され、このことが哺乳類生体レベルで血中のリンレベルを低下させ細胞内ATPレベルを上昇させます。

SCO-006は優れた化合物プロファイルを有する経口投与可能な世界初のIP6K阻害薬です。前臨床試験では、SCO-006によるIP6K阻害作用はラットおよびサルにおいてIP6Kの酵素産物である細胞内のInsP7を減少させ、血中のリンレベルを強力に低下させることが確認されました。また、慢性腎臓病を伴う高リン血症モデルラットにおいて、SCO-006は高リン血症を改善すると同時に腎機能を改善しました。腎機能の改善はIP6K阻害により腎臓のATPが増加した結果であると考えられます。

これらのことから、IP6K阻害は高リン血症とそれを伴う疾病 (慢性腎臓病など)を治療するための差別化された新規戦略であり、SCO-006は臨床応用可能なファースト・イン・クラスのIP6K阻害薬となる可能性があります。

現在、当社は SCO-006 の全世界における開発および商業化パートナーを探しています。
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適応症

  • 高リン血症
  • 卵巣明細胞癌