アミノ酸はヒトにおいて多彩な生理的役割を担っており、前臨床および臨床において広く研究されています。エンテロペプチダーゼは十二指腸に局在し、哺乳類のタンパク質消化とそれに続くアミノ酸吸収のために必須の酵素です。当社が研究開発を進めるSCO-792は、ファーストインクラスの可能性を有する経口投与可能なエンテロペプチダーゼ阻害剤です。これまでに実施した第1相および第2相試験の結果から、SCO-792の安全性および忍容性が確認されています。

先天性アミノ酸代謝異常症の患者さんは臨床的に困難な状況にあります。代表的な例として、フェニルケトン尿症(Phenylketonuria, PKU)、メープルシロップ尿症(Maple Syrup Urine Disease, MSUD)、ホモシスチン尿症(Homocystinuria, HCU)などがあります。PKU、MSUD、HCUでは、食事からの自然タンパク質の摂取制限により、それぞれフェニルアラニン、分岐鎖アミノ酸、メチオニンの摂取量を減らすことが有効な治療法として確立されています。しかし、アミノ酸摂取を制限するために生涯にわたる食事制限を遵守することは患者さんにとって簡単なことではなく、新しい治療オプションが求められています。

臨床試験において、SCO-792は食事やタンパク飲料の摂取に伴う血漿中アミノ酸濃度の上昇を効果的に低下させました。これは、SCO-792によるエンテロペプチダーゼ阻害がヒトでアミノ酸吸収を阻害できることを証明しています。以上から当社は、SCO-792がPKU、MSUD、HCUなどの先天性アミノ酸代謝異常症に対する新しい治療オプションになると考えています。

また、血中を流れるアミノ酸レベルはヒトの腎機能の指標である糸球体濾過量を生理的に正に調節していることが分かっています。したがって、過剰な食事性タンパク質の持続的な摂取は、腎臓の機能を低下させると考えられます。このことからSCO-792による腸管からのアミノ酸吸収阻害は腎機能を改善するための戦略となる可能性があります。

前臨床試験の結果、低アルブミン血症につながる重度のタンパク尿で定義されるネフローゼ症候群のモデル動物において、SCO-792はタンパク尿を効果的に低下させました。また臨床第2相試験の結果、SCO-792の12週間投与は糖尿病性腎臓病(DKD)患者の尿中アルブミンレベルを低下させました。これらのことから、SCO-792はネフローゼ症候群およびDKDに対する新規治療オプションとなる可能性があります。詳細な情報についてはお問い合わせください。

現在、当社は SCO-792 の全世界における開発および商業化パートナーを探しています。
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適応症

  • フェニルケトン尿症 (PKU)
  • メープルシロップ尿症 (MSUD)
  • ホモシスチン尿症 (HCU)
  • 糖尿病性腎臓病 (DKD)